クラウド型ECが主流のいま、なぜEC-CUBEが選ばれるのか
ECサイトを作ろうとすると、多くの人が最初に触れるのはクラウド型ECです。申し込みをすればすぐに使えて、商品登録や決済設定も分かりやすく、特別な知識がなくても始められます。
とくに「まずは売ってみたい」という段階では、この手軽さはとても大きなメリットです。短期間で公開できることは、それだけで事業にとって有利に働きます。
ただ、ECの運営は始めたあとに変わっていきます。商品が増える、注文の流れが複雑になる、社内のルールに合わせる必要が出てくる、といった変化です。
そうなると、「最初の便利さ」で選んだ仕組みが、少しずつ合わなくなってくることがあります。
AIの進化によりEC-CUBEを活用するケースが増えている
これまでの考え方では、EC-CUBEは「ある程度大きくなってから使うもの」という位置づけになりがちでした。
しかし今は、その前提が少し変わり始めています。
AIの登場によって、カスタマイズのハードルが下がり、「小さく始めながら作り込んでいく」という使い方が現実的になってきているからです。
そのため、これからは必ずしも「大規模になったらEC-CUBE」ではなく、「最初からEC-CUBEで育てていく」という選び方も増えてくる可能性があります。
そもそもなぜクラウド型ECが主流になったのか
クラウド型ECが広がった理由は、何と言ってもすぐに始められるからです。
サーバーの準備や専門的な設定を気にする必要がなく、決済や配送も最初から用意されています。運営画面も整理されていて、担当者が変わっても引き継ぎしやすいのも特徴です。
とくに、小さく始めて早く検証したい段階では、この手軽さは大きな武器になります。
ただし、運営が進むと事情が変わります。
会員ごとに価格を変えたい、独自ルールで送料を適用したい、商品ごとに販売条件を変えたい、社内システムと連携したい、といった要望が出てきます。
このとき、「決められた範囲で対応する」のか、「仕組みごと変える」のかが分かれ道になります。
過去のセキュリティの話をどう捉えるか
EC-CUBEに対して不安を感じる理由のひとつに、過去のセキュリティの話があります。
これは主に2系の時代の話となりますが、当時は、ECサイト構築の多くがEC-CUBEで行われており、利用される数が多かった分、攻撃対象として狙われやすい状況にありました。
さらに、ECが普及し始めたばかりの時期でもあり、「ホームページの延長」のような感覚でカスタマイズされるケースも少なくありませんでした。とりあえず動けばOKという状態で公開され、セキュリティが十分に考慮されていないサイトも多く存在していました。
その結果として問題が目立ってしまい、「EC-CUBEは危ないのではないか」という印象が残ることになりました。
これは当時の「ECサイト黎明期」という状況ならではの状況が大きく影響していましたが、現在は、セキュリティに対する考え方も技術も大きく進歩しています。
定期的なアップデート、診断ツールの活用、ファイアウォールが手軽に導入できるなど、いまではセキュリティ対策の手段が飛躍的に向上し、被害も劇的に減ってきています。
EC-CUBEが選ばれる一番大きな理由
EC-CUBEが選ばれる理由は、何と言っても「運用に合わせて自由にカスタマイズができるから」です。
ECサイトを運営していると、「あと少しこうしたい」という要望が必ず出てきます。
たとえばギフト対応では、ラッピング、のし、メッセージカード、配送ごとの設定など、細かな違いが出てきます。商品オプションでも、単純な選択ではなく、加工内容やセット内容など複雑な条件を扱いたいことがあります。
こうした要望を、アナログ運用で無理やり対応するのか、デジタル化して仕組みとして組み込むのかで、日々の業務の負担は大きく変わります。
EC-CUBEは、一見すると開発コストがかかるように見えますが、柔軟なカスタマイズにより「日々の業務や運用のコストを下げる(=人件費を抑える)」ことができるという点が、他のECプラットフォームにはない大きな特徴だと言えるでしょう。
企業のガバナンスやリスク管理体制による理由
また、システムの透明性という点も大きな理由です。プラットフォーム選定の基準はあまり表で語られることはありませんが、実は非常に重要なポイントです。
というのも、企業によっては、システムの中身を説明できることが条件として求められることがあるのです。どこにデータがあり、どのように処理され、どこに連携しているのかを把握しておく必要があるからです。
とくに、プライバシーマークなどの個人情報に対する認証制度を取得している企業や、上場企業、公的機関に近い業務を扱うケースでは、この要件はかなり厳しくなります。顧客データや取引データの扱いについて、社内外に対して説明できることが前提になるためです。
そのため、システム構成が見えにくいクラウド型ECや、複数のサードパーティ製アプリや外部サービスへのデータ連携を前提としたECプラットフォームは、採用しづらい場合があります。
便利さよりも「どこに何があるか分かること」「他社に何のデータを提供しているのかが説明できること」が優先されるためです。
クラウドECの場合、システム構成がブラックボックスであったり、プラグインやAPIを利用した他社ツールなどの外部サービスを増やせば増やすほど、データの流れが複雑になり、管理や説明が難しくなるのです。「いつの間にか海外企業にデータを提供してしまっていた。」というケースもあり得ます。
こうした背景から、「自社で構成を把握できる」「どこに何があるか説明できる」といったシステムが求められる場合、EC-CUBEのように中身を説明しやすいECプラットフォームが選ばれやすくなります。
これは機能の話というより、企業としてのガバナンスやリスク管理の話に近いですね。
基幹システム連携や業務自動化による理由
ECサイトは単独で完結するものではありません。
受注データを社内システムに送る、在庫を同期する、出荷情報を連携するなど、裏側ではさまざまな処理が動いています。
これらを手作業で行うと、時間もかかり、ミスも増えます。
EC-CUBEは、こうした処理を自動化しやすい構造にしやすく、タスクスケジューラーを使って定期的に処理を動かすような設計も組み込みやすいです。
この違いは、日々の運用の安定性に大きく影響します。ある程度の売上規模になると、クラウドECから自社サーバー設置型のECを検討することになる理由はこのためです。
生成AIの進化とデータ活用による理由
ここが、今いちばん状況が変わってきている理由です。
これまでは、EC-CUBEのように自由に作れる仕組みは、「扱うには知識が必要」「大規模なEC向け」という見られ方をされがちでした。
一方でクラウド型ECは、「制限はあるけど誰でも扱いやすい」という位置づけでした。
しかし、AIの登場によってこの関係が変わり始めています。
EC-CUBEはコードを自由に扱えるため、AIに読み込ませて内容を説明させたり、修正案を出させたりすることができます。つまり、専門知識が十分でなくても、AIのサポートを受けながらカスタマイズを進めやすくなっているのです。
一方で、クラウド型ECは内部のコードに触れることができません。AIにコードを読み込ませて仕様を変えるような使い方はできないため、できることの範囲は用意された枠の中に限られます。バイブコーディングと言われる「生成AIによる自動カスタマイズ」を行いたい場合には不向きです。
これまでは「クラウド型のほうが扱いやすい」と考えられていましたが、これからは「AIを使いながら柔軟に育てていく」という観点で、EC-CUBEのほうが扱いやすい場面も増えてきています。
特にEC-CUBEではデータベース内の生データが取得できるため、マーケティングにも向いています。購買履歴や売上状況をもとに広告施策を考えたり、キャンペーンページを自動で作成したり、商品やFAQデータをAIに読み込ませてユーザーの質問に自動で答えたり、売上状況を判断してリアルタイムにピックアップ商品を自動変更するなど、「データの蓄積とともに賢くなるEC」を構築することが出来つつあります。
そのため、昨今では「最初はクラウド型で、成長したらEC-CUBE」という流れだけではなく、「最初からEC-CUBEで、AIを使いながら育てていく」という選択肢が増えつつあります。
自社にとって最適なECプラットフォーム選定基準とは?
このように、生成AIの登場によりECプラットフォーム選定の基準も大きな変化が見られます。
まずはスピードを重視してシンプルに始めたいならクラウド型ECが第一候補となるでしょう。
一方で、最初からある程度の自由度を持って育てていきたい、カスタマイズやデータ活用を前提に考えたいならEC-CUBEが候補となってきます。
そして今は、「小規模だからクラウド型一択」という時代でもなくなりつつあります。
AIを活用する前提で考えると、小規模な段階でもカスタマイズ性の高いEC-CUBEを選ぶ理由は十分に出てきています。
| 観点 | クラウド型EC | EC-CUBE |
|---|---|---|
| 立ち上げ | すぐ始められる | 構築に時間がかかる |
| 運営のしやすさ | 比較的簡単 | 設計に依存する |
| カスタマイズ | 制限あり | 自由度が高い |
| 業務への適応 | 運用で対応 | 仕組みで対応 |
| AI活用 | 制限がある | 柔軟に活用しやすい |
EC-CUBEの注意点と失敗しやすいところ
一方、EC-CUBEは自由度が高いぶん、カスタマイズをしすぎると運用コストが上がるので注意が必要です。
必要以上に機能を詰め込むと、後から修正が大変になります。機能どうしが競合してしまったり、担当者が変わって把握できなくなってしまったりする前に、最初に「どこまでやるか」を決めておくことが重要です。
また、公開後の運用も大切です。やみくもに魔改造してしまう前に、バージョンアップやセキュリティ対策をどのように行っていくかも、合わせて考えておきましょう。
生成AIを活用する際にも、個人情報を読み込ませないようにするなどのルールは重要になります。
まとめ
クラウド型ECが主流になったのは、スピーディにECサイトを立ち上げやすく、システム維持が行いやすいからです。
一方で、ECサイトは続けるほど求められるものは複雑になり、業務やデータ、システム連携まで含めて考える必要が出てきます。
EC-CUBEは、そうした部分まで含めて柔軟に対応できる仕組みとして、今も選ばれ続けているECプラットフォームです。
そして、昨今の生成AIの進化によって「EC-CUBEは専門知識が必要で難しい」というハードルも一気に低くなりました。
今後はさらに、AIを活用してEC-CUBEでECサイトを構築するケースが増えてくるかと思われます。
FAQ
EC-CUBEは今でも使われていますか?
はい。現在も多くのECサイトで使われており、継続的にアップデートされています。
セキュリティは大丈夫ですか?
過去に話題になったのは主に2系の時代で、当時の利用状況や環境の影響も大きいです。現在は対策手段も増えており、適切に運用することで安全に利用できます。
クラウド型ECとの違いは何ですか?
大きな違いは自由度です。クラウド型は手軽さ、EC-CUBEはカスタマイズ性が強みです。
小規模でもEC-CUBEを選ぶメリットはありますか?
あります。AIのサポートによりカスタマイズのハードルが下がっており、小規模でも柔軟なサイトを作りやすくなっています。
どのタイミングで検討すべきですか?
従来は成長後が目安でしたが、今はAIを活用する前提であれば初期段階から検討するケースも増えています。
EC-CUBEのご相談はこちら
プラットフォーム選定から、開発、運用、連携、AI活用まで含めて、EC-CUBEについてお気軽にご相談ください。
カートだけEC-CUBEを使いたい方
WordPressやHTMLサイトに、気軽に「カートと決済だけ」を追加できる第三の選択肢もご提供可能です。